【ひろがりコミュニティ】「ひろがりコミュニティ」は、情報労連に加盟している組合員の皆様の暮らしに役立つ情報やライフスタイルを共有するためのコミュニティサイトです。
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情報労連アドバイザー中島社労士の、ちょっと気になるお金の話
お金を考える

改めて「おカネ」について考える

「おカネ」って何?

「仮想通貨」は、ブロックチェーンという技術を使ったネット上のおカネです。一方、現実の1万円札は「1万円」という記号を印刷した紙であり、紙自体に価値があるわけではないので、1万円札自体がそもそも仮想の通貨です。そうすると、いわゆる「仮想通貨」という呼称は、仮想である紙幣や貨幣の通貨との違いが区別できません。そこで、金融商品取引法などが改正され、仮想通貨の呼称は法律として「暗号資産」とされました(2019年5月31日可決成立)。このことは、「おカネ」とは何かを考える契機となりました。

キャッシュレスとお財布

○○PAYなどが注目されています。しかし、結局は自分の口座やお財布からおカネが出ていくのであって、おカネがどこからか湧いて出て、無尽蔵に使うことができるわけではありません。決済の原資は自分で稼ぐしかないのです。原資の話をせずに決済の簡便性とポイント還元だけを強調することは、一面強調です。つまり、自分の頭脳と肉体でイノベーションを起こし、それにより付加価値を生み出し、その付加価値に対してお金が支払われ、それがご自身のお財布の原資となることに何ら変わりはないのです。

「働く」ということ

では、仮想である「おカネ」に意味をもたらすものは何でしょう。それは「人の役に立つ」ということです。お金で役に立つモノを買う、お金の投資を通じて社会の役に立つ、そうしたことでお金は意味をもちます。私達は、自分の買ったモノやサービスが期待以上であったとき笑顔がこぼれますし、それなりの時はそれなりです。つまりお金は使い方によって満足度が違います。同様に、働くことで得るお金は、たとえ少額でもお客様の笑顔があれば働く人の笑顔もこぼれます。このように、働き方によってもお金に対する満足度が違います。ですから、お金を考えることはどのような仕事を通じてお金を得たいのかを考えることでもあります。AIなどにより働き方が激変すると言われる今こそ、働いてお金を得るということ、そして自分はどのように働きたいのかということを考えることが大切です。

暗号資産への投機はギャンブル性が強い

金融商品取引法などが改正されたもう一つの理由は、暗号資産取引に対する規制強化です。暗号資産は、円やドルなど中央銀行が信用を保障する「通貨」と交換することができます。そうすると、暗号資産と「通貨」との間で交換レートが出来上がります。ちなみに、ビットコインの2019年7月4日のレートは、1BTCが約100万円程度です。こうして、異なる2つの通貨(米ドルと日本円など)を交換する外国為替取引と同じく、暗号資産の取引が投機対象となります。しかも、暗号資産取引は、FX(外国為替証拠金取引)と同様、投資額の25倍まで売買できるとされていましたので、非常にギャンブル性が強いと言えます。そこでFXと同様に暗号資産取引に対しても金融庁による規制が強化されました。私としては、額に汗して働くサラリーマンの皆様には、FXや暗号資産取引を勧めることはできません。もちろん、全て承知で売買することは自由ですけれども。

中島豊一
Toyokazu Nakajima

情報労連アドバイザー / 特定社会保険労務士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 /(2008年までNTT労働組合役員)