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リモートワークと労働時間管理
フレックスタイム制/h3> |
フレックスタイム制は、始終業時刻の設定を労働者に委ねる制度であり、中抜け時間についても、労働者自らの判断により、終業時刻を遅くしたり、清算期間の範囲内で労働時間を調整したりすることが可能です。とはいえ、スーパーフレックスでも、コアタイムのあるフレックスでも、会社には各労働者の各日の労働時間をきちんと把握する義務があります。従って労働組合は、必要があれば会社を通じて特定の労働者の特定の日の労働時間を把握することができます。
事業場外みなし労働時間制/h3> |
事業場外みなし労働時間制は、「労働時間を算定し難いときに限り」所定労働時間または労使協定で定めた労働時間を労働したものとみなす制度です。しかし、ガイドラインは「労働者が自分の意思で、PC等をON・OFFできる場合や応答のタイミングを判断できる場合などの条件を満たす場合には、情報通信機器を労働者が所持していることのみをもって、制度が適用されないことはない。」としており、具体的指揮監督をすることができ、労働時間を算定することが「できる状態」であっても、会社側が敢えて「具体的指示はしない、常時通信可能な状態におかない」とすることでこの制度を適用できると解釈できます。このことによりこの制度導入が進展すると考えられますが、既に述べたとおり労働時間管理などについて会社が口うるさく介入することはできません。ただし、未払い残業や長時間労働が発生しないように、労働組合がしっかりと関与することが不可欠です。
業務量の適正化/h3> |
ガイドラインにおいて「事業場外みなし労働時間制では、必要に応じて、実態に見合ったみなし時間となっているか労使で確認し、使用者はその結果に応じて業務量等を見直すこと。裁量労働制では、みなし時間と当該業務の遂行に必要とされる時間とに乖離がないか等について労使で確認し、使用者はその結果に応じて業務量等を見直すこと」とされており、厚生労働省は、労働時間だけでなく「業務量の適正化」を優先して取り組むよう求めています。従って、労働組合には業務量の適正化に向けて主体的に知恵を出すことが求められます。
中抜け時間 |
リモートワークの中抜け時間は、①始終業時刻の繰上げ・繰下げや時間単位の年次有給休暇により扱うことも、②中抜け時間を労働時間として扱うことも労働基準法上問題ないとされました(図)。従って、中抜け時間の扱いを予め労使で定める必要があります。(なお、②については、所定の終業時刻終了後に労働した場合、それは終業時刻の繰下げなのか時間外労働(残業)なのかなど、学問上の整理も必要だと考えられます。)
市労働時間の自己申告制 |
労働時間の自己申告制を導入する場合、それが不適正に運用されると、未払い残業代や長時間労働が生じやすくなりますので、PCの起動状況、メールの受発信状況などの客観的な事実と、自己申告された労働時間との間に著しい乖離があることを把握した場合には、必要な労働時間の補正をすることが必要です。このことから、労働時間の自己申告制を導入する場合には、労働組合のしっかりとした関与が不可欠です。なお、メールで労働時間を報告させることは自己申告に該当します。
管理監督者などの労働時間の状況把握が義務化 |
労働安全衛生法が改正され「①管理監督者、②事業場外みなし労働時間制、③裁量労働制、④研究開発業務」の対象者も、健康管理上の医師による面接指導のために労働時間の状況を把握することに加えて、残業時間が80時間を超えた全ての労働者に対してアラームを通知することが義務化されました。なお、高度プロフェッショナル制度は労働基準法第41条の2の3項により健康管理時間の把握が義務化されました。これらの義務はリモートワークでも当然に課せられます。
中島豊一
Toyokazu Nakajima
情報労連アドバイザー / 特定社会保険労務士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 /(2008年までNTT労働組合役員)