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20代から40代にとっての年金制度
将来に夢が持てる |
年金制度があるからこそ、現役世代は困窮から解放され将来に夢が持てるのです。年金制度の無い国を想像しましょう。その国では、現役世代がご両親を扶養することになります。例えば結婚して子供がいるカップルを想定した場合、1組のご両親の老後生活費は65歳からの20年間で約6,000万円とされますので、このカップルが2組のご両親を扶養するには1億2,000万円必要です。加えて、自分の老後資金や子育て資金も必要であり、そこに困窮という問題が生じ得ます。そうなると、現役世代は長生きするご両親を疎ましく感じることでしょう。また、ご両親の扶養のために自分の子供に投資できず、影響は後世にまで及びます。このように年金制度の無い世界は最悪です。(金額は総務省家計調査資料を基に筆者試算)
こども・子育て支援 |
例えば、現役世代が年金制度を信用できず、老後不安を募らせて出産を躊躇しているのであれば、老後不安のない年金制度を構築し現役世代に安心を提供することが必要です。政府は、こども・子育ての課題に「若い世代が結婚・子育ての将来展望が描けない」ことを挙げていますが、具体的には「出産後の人だけに現金をばら撒く」政策を羅列しています。一見良い政策に見えますが、財源として社会保険料や雇用保険料の値上げ・社会保障費の圧縮・将来の増税などが想定されており、これでは持続可能性に疑問があり若い世代が将来展望を描けるとは言えません。現役世代の不安は所得・雇用・老後など多岐にわたっていますので、生涯を通じた安心が求められています。
一定期間で保険料の元が取れる |
年金は世代間扶養ですから損得勘定には馴染みませんが、「年金保険料を支払うのは損だ」と言う方がいますのであえて試算してみます。例えば、平均報酬月額40万円の人は、納付した保険料総額は約1、800万円で、貰える年金額は約200万円/年ですから、約9年で元が取れることになります。なぜなら、厚生年金財源として「①保険料は本人納付分とその同額を会社も納付(合計で本人負担分の2倍納付)している上に、②基礎年金の2分の1に税金を投入、③さらに年金積立金を投入」しているからです。しかも年金は一生涯もらえるので、長生きすればするほど多くもらえます。(金額はイメージアップのため「令和5年度保険料及び年金額の計算式」を基に筆者が試算した数値(1万円未満切り捨て)です。実際の保険料と年金額は毎年改定されますのでご承知おきください)
持続可能な年金制度へ |
「年金受給者は増加し保険料納付者は減少するから、年金制度は破綻する」と冷笑する方がいます。ですが、現在の年金受給者はいずれ大幅に減少する一方、パートやフリーランスの人達が老後貧困に陥らないよう厚生年金に加入して頂く制度にすれば、保険料を納付する人々のすそ野が広がります(専業主婦に対する検討も必要です)。加えて、人生100年時代に65歳で完全リタイヤするという想定は逆に非現実的です。ですから、冷笑するより、20年・30年という時間をかけて持続可能な年金制度に改革することが賢明です。年金改革に必要な財源については幅広い検討が必要ですが、その際は「全ての人々が負担を衡平に分かち合い・支え合う」という哲学が求められます。
中島豊一 / 情報労連アドバイザー
情報労連アドバイザー
中島豊一
Toyokazu Nakajima
1971年新潟県柏崎電報電話局配属、1982年長野県松本電報電話局、1986年全電通長野県支部、1999年ME総支部、2004年東日本本部、2008年全電通労働会館、その後大病を克服し2010年電通共済生協、同年ファイナンシャルプランナー(AFP)登録、2013年社会保険労務士登録、2014年特定社会保険労務士付記、2015年情報労連アドバイザー、2016年キャリアコンサルタント登録。