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給料について考える
変化の激しいデジタル産業では、斬新なアイデアでも商品寿命は短期間です。従って企業は絶えざる創造を追求せざるをえません。そのため企業は、必然的に「創造性あふれる人材」を求めることになります。そこで、これからの給料と人事評価について考えてみましょう。
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給料を増やすには |
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会社員の収入源は給料です。給料の構成は「基本給、成果給、職務給、残業代」などですが、人事評価によって成果給や職務給が上昇する仕組みになっています。そこで会社員が給料の額を増やそうと考えるなら、仕事を通して、あるいは自ら勉強してスキルアップを図り、そして仕事で結果を出し、その結果が評価され成果給や職務給などが1ランク上昇して給料の額を増やすことが必要です。中には残業代で稼ぐと考える人もいるかもしれません。しかし、業務上の必要が無いのに仕事を引き延ばして残業代を稼ぐことは、会社に無駄な支出をさせることになるので、そのような人の評価は低下するでしょう。もちろん必要な残業は正々堂々と行えば良いのですが、結局「単位時間当たりの生産性が高い人」や「創造性あふれる人」が良い評価を受けることになるでしょう。
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求められる「創造性」 |
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現在の産業は、情報自体が商品であるデジタル産業に転換しています。このような時代に人事評価はどのように変化するのでしょうか。過去には「目標に対する達成度」が評価基準でした。しかしデジタル産業では、情報それ自体は単なるデータだとしても、その情報をいかに利活用するのか、サービス開発につなげていくのか、効率的なサプライチェーンを再構築するのかなど、そのアイデアが勝負です。さらに、デジタルだからこそ斬新なアイデアも瞬く間に模倣され陳腐化してしまいます。そこで各社は他社に先駆けて新しいアイデアを絶えず創造し続けなくてはなりません。そのため必然的に「創造性あふれる人材」が求められます。

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計画された偶発性 |
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「計画的偶発性理論」というキャリア理論が、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授によって1999年に提唱されたました。それを要約すれば「①現代はモノを計画通り生産する時代ではないから人生も計画通りにはいかない。②だから人生について選択肢を幅広く持ち偶発的な出来事をチャンスに変えることが必要だ。③むしろチャンスとなる偶発的出来事を意図的に引き寄せる行動が必要だ」という内容です。その行動は次の通りです。
- ①好奇心新しいことに興味を持つ
- ②持続性努力の継続
- ③楽観性ポジティブシンキング
- ④柔軟性選択肢を幅広く考える
- ⑤冒険心結果より先ず行動
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自分に投資 |
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このように幅広くそして注意深く世の中を捉えることで、チャンスとなりえる偶発的出来事を見逃さず、変化を味方につけてキャリアの幅を広げることができます。そしてそれが自分を「創造性あふれる人材」に成長させ、やがて人事評価につながっていくことでしょう。つまりこれから給料の額を増やそうとするなら、自分の創造性を高めるため自分自身に投資することが必要です。NISAなどに投資するお金があるなら、仕事に対しては言うまでもなく、スポーツ・健康、書物(紙orデジタル)・芸術・音楽、リカレント教育・資格取得など、自分自身に投資することが必要です。また、自分の専門性を深掘りすることも有益ですが、その専門性も絶えずブラッシュアップしなければたちまち陳腐化するでしょう。最後に、自分への投資は「自分の市場価値を高める」ことになるという点も強調しておきます。


中島豊一
Toyokazu Nakajima
情報労連アドバイザー / 特定社会保険労務士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 /(2008年までNTT労働組合役員)