あなたが投資に失敗する訳

図１のグラフをご覧ください。横軸は金額で右側は得した金額、左側は損した金額です。縦軸は人の感情の強さで上側は嬉しさの強さを、下側は悔しさの強さを表しています。同じ1万円でも、得した時の感情の強さと比べて、損した時の悔しさの感情は2・5倍も強いことが分かります。つまり、人は「損」することが大嫌いなのです。

皆さんが投資をして1万円損したとします。すると皆さんは、悔しさのあまり何とかこの現実を無かったことにしようと考えます。そこに投資会社などの営業担当者は、「でも大丈夫、もう一度投資すれば元本は戻り利益も出ます」と新しい投資を持ちかけてきます。つまり、営業はこのグラフを逆手に取って、あなたの悔しさに付け込んでくる。営業はあなたを儲けさせることが目的ではない、手数料を稼ぐことが目的なのです。でもそれは仕事である限り当然の行ないです。

図２をご覧ください。縦軸は何％の損得があったのかを表し、棒グラフの長さは投信保有者に占める割合を表しています。例えば真ん中の▲１０％の棒グラフは、元本に対して０～１０％損した人が全体の３５％を占めていることを表しています。金融庁によれば、全体の４６％の人の運用損益がマイナスで、損をしていたことが明らかになりました（金融庁資料2018年6月公表）。このように、投資にはリスクがあることを忘れないでください。

ＦＸは外貨を売買する投資ですが、投資額の何倍もの売買ができてしまうので危険です。例えば１万円の投資で５万円の売買ができる場合、１万円で千円儲かるとすれば、ＦＸなら５倍の５千円が儲けとなります。でも、１万円で千円損する時も５倍の５千円です。５千円儲けのはずが５千円の損。「悔しさ」のあまり、次は２万円、その次は４万円と投資額が増え、損害額も指数関数的に膨らむ危険があります。仮想資産（仮想通貨）への投資も、外貨と仮想が入れ替わっただけで、仕組みは同じです。「楽して金儲け」は絶対にない。これを忘れないでください。

皆さんが投資を考える場合は、一人で考えず信頼できる金融機関に相談することをお勧めします。労働金庫は労働組合が作った働く者の味方ですから、安心してご相談ください。