【ひろがりコミュニティ】「ひろがりコミュニティ」は、情報労連に加盟している組合員の皆様の暮らしに役立つ情報やライフスタイルを共有するためのコミュニティサイトです。
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情報労連アドバイザー中島社労士の、ちょっと気になるお金の話
Column.17
経済と社会保障を考える

社会的連帯経済を考える

国民負担を強いる政策

政府は、増税を含むさまざまな形で国民負担を強いる政策を推進しています。具体的には、①「防衛費増額」の財源として所得税・法人税・たばこ税の増税の実施、②「子ども・子育て支援金」の財源として健康保険料の引き上げ、③高齢者の医療費窓口負担割合・介護サービス利用時の自己負担割合(3割・2割負担)の対象者拡大、④高額療養費制度における自己負担上限額の引き上げ――などです。これらの政策を一言でいうなら「防衛費増額のために福祉予算を切り詰めるだけでなく、現役世代の負担の軽減を意識しつつ高齢者に負担を求めるもの」と言えるのではないでしょうか。(政策の詳細は一覧表参照:2025年12月現在)。

防衛費増額関連増税

税目

内容

実施時期

法人税

防衛特別法人税として税額に4%上乗せ

2026年4月

たばこ税

加熱式たばこの税負担を紙巻たばこ並みに引き上げ。
その上で、たばこ全体の税率を29年4月にかけて3回、1本あたり0.5円ずつ引き上げる(調整中となっているが必ず増税される)。

2026年4月

所得税

現在、復興特別所得税として税額に「2.1%」上乗せしているが、これを二つに分けて、1%を「防衛特別所得税(仮称)」とし、1.1%を復興特別所得税とする。合計2.1%は変わらないが、徴収期限が2037年12月までだった復興特別所得税の徴収期間を延長し実質的に増税する。

2027年1月

そのほかの増税

税目

内容

実施時期

酒税

ビール、発泡酒、第三のビールの税率を350ml 54.25円に統一(実質増税)
低アルコール分の蒸留酒類及びリキュールに係る特例税率の引上げ

2026年10月

出国税

1,000円から3,000円程度の引上げ(調整中)

調整中

所得税

高校生の扶養控除縮小

見送り?

健康保険関連

項目

内容

実施時期

高齢者の窓口負担

70歳、75歳の医療費窓口負担割合について、2割・3割負担の対象者拡大(区切りの判断となる所得引上げや区切りの年齢廃止などを検討)

検討中

健康保険料

「子供・子育て支援金」として健康保険料の値上げ
(健保組合の場合一人当たり負担額予想(月額):2026年300円、2027年400円、2028年500円:厚労省試算)

2026年4月

高額療養費

高額療養費制度の自己負担上限額の引上げ(自己負担の増額)

2026年夏?

スイッチOTC

政府は、医師から処方される医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性の高いものを保険適用から外して市販薬(OTC医薬品)に転用することを検討したが、最終的には見送り。新たな患者負担を検討か?

検討?

介護保険関連

項目

内容

実施時期

自己負担割合

介護サービス利用に対する自己負担割合について、2割・3割負担の対象者拡大

2028年度までに結論を得る

自治体への移行

要介護度 1、2 の方に対する訪問介護、通所介護を介護保険から把持して、自治体が行う「総合事業」に移行する

ケアプラン作成費用

ケアマネジャーのケアプラン作成費用を有料化(自己負担の増加)

福祉用具

「つえ、歩行器、手すり、スロープ」の福祉用具を、貸与から買い取りへ(自己負担の増加)


国民の不安解消こそ重要政策

政府は、政府予算策定にあたって「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」として、社会保障費に事実上の上限(シーリング)を設定しています。しかし、日本医師会は、国民皆保険を堅持する立場から「高額療養費制度の自己負担上限額を見直すことになった要因は、財務省が主張しているシーリングの考え方にある」と述べ、政府方針を改めるよう求めています。一方、子ども・子育てに話題を転じれば、日本財団の「少子化に関する意識調査2024年」によると、子どもを持ちたくない理由の第一位は「経済的な負担が大きいから」であり、また、子どもの将来を取り巻く社会に不安を感じる理由の第一位は「財政悪化による医療・年金など国の基幹システム崩壊」でした。こうした意見を踏まえれば、持続可能な社会保障制度を確立して、国民の不安を解消することは、待ったなしの重要政策と言えます。

失われた30年

持続可能な社会保障制度を確立するためには、一定の経済成長が欠かせません。この点については、2012年に民主党政権下で公表された厚生労働省白書は「スウェーデンでは、産業構造を高付加価値分野に積極的に転換していくと同時に、国民には積極的労働市場政策によって、労働市場の外において知識を身につけたり、技能を高めたりする機会を提供することで雇用可能性を高めてもらい、成長力のある産業・企業へ労働力の円滑な移動が進むような取組みを行っている」こと等を参考に、日本の社会保障に求められる取り組みを見出していくと取りまとめています。ところが、その後の連立政権は法人税引き下げなどにより競争力を失った企業までも保護され、結果として産業構造転換の芽を摘んでしまったとの指摘があります。

社会的連帯経済による成長へ

経団連は「気候変動や生態系崩壊の危機といった地球環境問題が深刻化していることを踏まえ、倫理的経営を目指す」と宣言しています(経団連企業行動憲章)。今や、SDGsは経済のど真ん中にあり、地球環境を守る産業への構造転換こそ成長戦略です。こうした中「社会的連帯経済」という考え方が注目されています。「社会的連帯経済」とは「世界の経済及び生態系が危機にさらされていることから、信頼と協力によりこれらの問題を解決し、地域の多種多様な地域共同体の連帯性を深める経済」と位置づけられています(グローバル社会的経済協議体憲章)。

日本では「労働者協同組合法」が成立し「持続可能で活力ある地域社会に資する事業」を担う主体としての役割が期待されています。また、アメリカでは、ニューヨーク市長になったゾーラン・マムダニ氏が、ビッグテックに富が集中していることを指摘し、プラットフォーム協同組合などを提案しています。さらに、アメリカでは3,300社以上ある電気事業者のうち、約900社が協同組合方式で運営されている実態にあります。以上のとおり、持続可能な社会保障制度を確立するためには、高齢者と若者を分断させる政策ではなく、地球環境を守る産業への構造転換による経済成長が求められています。

中島豊一
Toyokazu Nakajima

情報労連アドバイザー / 特定社会保険労務士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 /(2008年までNTT労働組合役員)

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