【ひろがりコミュニティ】「ひろがりコミュニティ」は、情報労連に加盟している組合員の皆様の暮らしに役立つ情報やライフスタイルを共有するためのコミュニティサイトです。
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情報労連アドバイザー中島社労士の、ちょっと気になるお金の話
市場を考える

2021年、着実に一歩前へ!

国家予算の約60%が借金に

1.消費税の使い道の変更

消費税は、2012年「社会保障・税一体改革」の柱として5%から10%への増税が決定されました。その際、増税分5%の内1%は「社会保障の充実」に充てる。残り4%は「社会保障の安定化」に充て、社会保障の財源に充てていた赤字国債を減らして消費税に付け替えるとされました。それは赤字国債を抑制し、今の社会保障給付から恩恵を受けられない若者世代が負う借金返済の負担を軽くすることが目的でした。

しかし2019年、政府は「借金返しに充てていた消費税の使い道を見直し、教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元する」として、消費税の使い道を変更しました。これは、教育無償化だけを切り取ってみれば還元とも言えますが、「一体改革」の枠組みを変質させたとも言えます。

2.大型財政出動と国の借金

政府はその一方で、2020年度の国家予算を2回の補正で160兆円に増額し(図)、さらに第3次補正を組むことで、最終的には175兆円(当初予算の1・8倍)、新規国債発行額も約112兆円(歳入に占める割合は60%)を上回ることが閣議決定されました。

政府は2020年4月、補正予算の財源などとして日銀が国債を無制限に買い入れることができることを決めています。確かに、コロナ禍においては雇用対策、貧困対策、景気対策など財政出動が必要です。しかし、「日銀が国債を無制限に買い入れることができること」を正当化できる「確証ある経済理論」の裏付けがあるとは言えません。だからこそ、コロナ禍後を展望した財政改革論議を伴うことが必要です。

市場は官製バブル

加えて政府は、日銀によるETF(※)などの積極的な買い入れを決定しました。その結果、多くの東証一部上場企業において大株主が日銀となっています(日本経済新聞など各社報道)。しかし、それにより民間企業のダイナミズムが阻害される危惧があります。同時に、日銀による市場介入は、意図的に株価を吊り上げているとも言え、現在の株高は実体経済と乖離した官製バブルだと言えます。

人生を着実に一歩前へ!

現在、市場はこれらの財政・経済政策と新型コロナワクチンへの期待とで株高となっています。しかし、財政改革論議を伴わない財政出動と官製バブルに支えられた市場の危うさを踏まえれば、現在の株高がいつまで続くのか非常に疑問です。その意味で、今後の投資については、より慎重に検討すべきだと考えます。

とはいえ、コロナ禍による不景気の中では「お金が無くとも貯まる方法は無いか」と考えますよね。そこで、お金を節約する工夫を提案します。それは、①保険を見直す。保険を見直すことで保険料を抑えます。②住宅ローンを見直す。借り換えや繰上げ返済でどの程度節約できるか検討します。③家計簿をつける。月に一度キャッシュレス決済の明細やレシートを点検するだけで良いですから、家計を見直すクセを身につけましょう。

さて、節約したお金は貯蓄しますか?投資しますか?株価変動に時間と頭脳を費やすより、自分への投資に夢を託してみませんか。オンラインフィットネスやeラーニングリカレント教育など、丈夫な体と豊かな心を創るため今の自分に投資する。オンラインで様々な可能性が広がる今こそ、人生を着実に一歩前へ!(私は、今年バイオリンに初チャレンジする…かも?)

※ETF:日経平均株価等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種。

中島豊一
Toyokazu Nakajima

情報労連アドバイザー / 特定社会保険労務士 / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士 /(2008年までNTT労働組合役員)