




フルート演奏
聴衆の前でソロ演奏を披露
地道な練習の積み重ねが成功の鍵
NTT労働組合 東京総支部 加藤 純子さん

オーケストラのフルート奏者として活躍
柔らかく澄んだ音色が特徴のフルート。吹奏楽やオーケストラではメロディやソロを担当することが多い、人気の楽器の1つだ。
加藤純子さんも、フルートの魅力にハマった一人。東京で活動するアマチュアオーケストラ「ニューシティオーケストラ」のフルート奏者として、25年にわたり活躍している。
フルートとの出合いは中学生の時。音楽の先生がフルートを演奏する姿に魅了され、親にねだってフルートを買ってもらい、音楽教室に通い始めた。
「最初は音を出すポイントがつかみづらいため、みんな一生懸命に音を鳴らそうと息を吹きすぎて立ちくらみします(笑)。高音が得意な楽器で3オクターブの音域が出るんですが、逆に低い音を出すのが難しく、それをマスターするのに何年もかかりました」
高校ではブラスバンド部で活躍。大学時代はフルートから遠ざかったものの、故郷の新潟に戻って就職すると、地元のブラスバンドに入団。音大出身の先生から個人レッスンも受けた。そして30歳の時、東京に転勤したのを機にニューシティオーケストラに入団した。
ニューシティオーケストラでは毎年春と秋に定期演奏会を開催しており、その演奏会に向けて、半年かけて新しい曲をマスターする。全体で行う練習は毎週日曜日に3時間。演奏会が近づくと合宿も行われる。この他に個人での練習も必要だ。「練習は地道にやるしかない」と加藤さん。今も基礎練習を大事にし、音を長く伸ばして吹く「ロングトーン」、舌を使って音を区切る「タンギング」、音階(スケール)の練習、指を動かす練習などを、週末には必ず行うようにしている。
「演奏する曲だけを練習していても絶対うまくなりません。やはり基礎練習の徹底が大切です」

中学時代に憧れた曲、ビゼー「アルルの女」第2組曲「メヌエット」を演奏。
音楽を通じて基礎練習や周囲との調和の大切さを学ぶ
「半年に一度、新しい曲を覚えるのが苦痛で」と笑う加藤さん。未だに人前で演奏することには慣れないという。演奏会では必ず見せ場があるため、とても緊張するが、その分、うまくできた時は「やったぜ」と思える。その成功体験があるからこそ、苦しくても続けられるのだそうだ。
「オーケストラは和音の集合です。特にフルートは音程が飛び抜けて高いので、変な音を出すと目立ってしまいます。ですから、あらかじめ演奏する曲をよく聴いて全体像をイメージしておくことを大事にしています。演奏中はどうしても自分の譜面や指の動きなどに意識が向きがちですが、周囲の音を意識して聴くように心がけています。みんなで演奏して和音がピタッとハマり、みんなの『やったー』という表情が見られた時は最高ですね」

ニューシティオーケストラの定期演奏会
思い出に残っている出来事として、成功よりも失敗したことを挙げる。
「定期演奏会で、チャイコフスキーの交響曲第1番 ト短調『冬の日の幻想』を演奏した時のことです。冒頭にフルートのソロパートがあるのですが、誤って1小節早く入ってしまったんです。その瞬間、私も指揮者の先生も凍り付きましたけど、途中で演奏を止めるわけにはいきませんので、なんとかうまくごまかして事なきを得ました。この時のことは今だにメンバーからイジられますが、良い思い出になっています」
フルートを通じて人生にプラスになったことは、共に過ごしてきた仲間の存在だという。
「オーケストラには、さまざまな職業の方たちがいるので、勉強にもなるし刺激にもなります。演奏だけでなく、飲みに行ったり旅行に行ったりもしますし、子どもの面倒を見てもらったり、人生の相談に乗ってもらったこともありますね。そういう意味では、音楽を通じて出会った友達は、私の生活の一部といえます」
音楽活動で身につけた基礎練習や周囲との調和の大切さなどは、仕事においてもプラスになっている。
「演奏したことのない曲がまだまだ無数にありますので、いつまでもフルートを吹き続けられるように、健康であり続けたいと思います」

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(2025年1月掲載)

