




ラグビー
クラブチームを運営し
社会人が楽しめる場をつくる
ミライト・ワン労働組合 中央副書記長/西日本総支部 書記長 瀧澤 慎吾さん
ミライト・ワン労働組合
中央副書記長/
西日本総支部 書記長
瀧澤 慎吾さん

誰にでも活躍できるポジションがあるスポーツ
兵庫県尼崎市と西宮市の間を流れる武庫川の河川敷。ここに毎週日曜日の午前、ジャージ姿の男性たちが集まってラグビーの練習をしている。地元の社会人クラブチーム「武庫川ボンバーズ」の面々だ。登録メンバー20人弱のうち、練習に参加する人数は10人未満と少ないが、年齢層は高校を卒業したばかりの若手から50代までと幅広く、声を掛け合いながら楽しく練習する姿が印象的だ。
「皆社会人なので、そんなハードな練習はしません(笑)」と話すのは、チームの統括的な役割を担う瀧澤慎吾さん。ポジションは背番号10番/スタンドオフ。攻撃の起点となる、チームの司令塔的存在だ。練習ではメニューを考え、経験の浅いメンバーもベテランも一緒に練習できるように配慮する。
「ラグビーは誰にでも自分に合ったポジションがあるといわれています。体重があればスクラムが組める。背が高ければラインアウトが取りやすい。パスやキックがうまい人、足が速い人、それぞれの特徴を活かせるポジションがそろっているのが魅力です。ただ、どのポジションでもコンタクトは避けられない競技ですので、向かっていく勇気や負けん気は必要ですね」
ラグビーとの出会いは高校1年の時。もともとテニス部に入るつもりだったが、赴任したばかりの体育教員の担任が創設したラグビー部に、半ば強制的に入部させられた。
「ラグビーに対する熱意に負けました。『ついていったら楽しそうだな』と思わせてくれる先生でした」
当時は「愛のムチ」や「根性論」など、“昭和”の指導法がまだ残っていた時代。ハードな練習にも、がむしゃらに食らいつき、ラグビー推薦で大学に進学した。
「学生時代にラグビー、筋トレ、バイト、少しだけ勉強と、苛酷な日々を耐え抜いてきたことで、ストレス耐性は自然と身についたかもしれません」
大学を卒業し、社会人になったタイミングで武庫川ボンバーズに加入した。





練習の指示を出しながら、自らも練習に参加する
チームを束ねてきた経験が労組の活動にも役立っている
高校3年間はずっとキャプテンを任され、大学でも4回生の時に副キャプテンを務めた。
「もともと出しゃばりな性格のためか(笑)、ずっとチームを牽引する立場で携わることが多かったです。それによって身についた人との関わり方は、社会に出てからもコミュニケーションの根幹となっているような気がします。特に大学時代は部員が多かったので、まとめるのは大変でしたが、当時の経験が労働組合の活動にもすごく役立っています。高校の担任の先生に引きずり込まれて始まったラグビー人生ですが、結果としてはよかったと思います」
現在はチームを継続させるため、入部者を増やすための活動をしたり、メンバー間のコミュニケーションにも気を配る。年に1度開催する「ボンバビア」と名づけた飲み会では、MVPなどの授賞式も行っている。チームは兵庫県クラブラグビー連盟に所属し、10〜12月の間に年3〜5試合を行うが、ほとんどのクラブチームが人数確保に苦慮しているため、他チームと若手メンバーを貸し借りしながら乗り切っている。ラグビーを通じた人とのつながりは、大きな財産になっている。
「誰かが動かないと、クラブチームはすぐ潰れてしまいます。自分がやりたいからというよりは、『ラグビーをしたい』と思っている誰かのためにチームを残したいという思いでやっています。多分、お節介なんだと思います(笑)。今後は、他に誰かやってくれる人がいれば、すぐにでも引き継ぎますが、自分が期待されている間はやり切るつもりです」
「8歳の息子がラグビーをやるようになれば、一緒に熱く語り合えるのに」と将来に淡い期待を抱きつつ、これからも人とのつながりを大切にしながら、ラグビーと付き合い続けたいと考えている。



試合では攻撃の起点となるスタンドオフ、キッカーとして活躍

練習に集まったチームの仲間たちと
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(2025年4月掲載)

